◉亘理郡山元町/徳本寺
千年塔

祈りの道しるべガイドマップ

 山元町のなかでも、中浜地区の被害は甚大だった。高さ約10mの津波が中浜海岸に到達したのは午後3時45分頃。集落は流され、徳本寺の中浜墓地も波にえぐられて流されたため、今は内陸にある徳本寺そばに新中浜墓地として移転している。亡くなった檀家143名のうち、その7割は中浜地区の住民だ。災害危険区域になったため、今はみんな町内外に分かれて住んでいる。
 その墓地跡地に千年塔を建立した。日本石塔展覧会事業協同組合「鎮魂・東日本大震災日石展」の入賞作品が寄附されたものだ。奈良県の西大寺にある叡尊塔(えいそんとう)をモデルにして作られたもので高さは約3・8m、日本一高い五輪塔と言われている。そばには集落の移転により解散した「中浜念仏講の碑」と、中浜地区で建てた中浜地区東日本大震災慰霊碑も建っている。
 あれだけの津波を目の当たりにしてしまうと、何を言っても虚しかった。そこからどう立て直すか考えた時、こうした祈りの場があることが大切だと思った。また千年先にも伝え続けられるように「千年塔」と称した。
 千年塔のそばにある中浜小学校は、災害への備えと現場での判断により、避難していた90名全員の命を救った。平成25年に廃校になったが、震災遺構として保存されることが検討されている。祈念公園として整備されれば、千年塔も新たな祈りの場になっていくことだろう。

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