◉亘理郡亘理町/正福寺
東日本大震災慰霊之塔
亘理伊達家初代当主、伊達成実公の菩提寺である大雄寺の末寺だ。大雄寺5代目住職が、正福寺の初代に当たる。
これまでは三陸のほうで大きな津波があっても、この地区はそれほどでもなかったため、年配の方々ほど津波に対する実感がなく、逃げ遅れた方が多いという。当時寺にいた住職とご両親も避難を呼びかける消防団に促されて避難した。すぐ戻れるはずだった。高さ約3mの津波は東側にある太平洋と北側にある「鳥の海」から押し寄せ、南側以外の壁を壊していった。
本堂は平成24年5月に最低限使えるよう修復し、今はこの本堂とプレハブの事務所を使っている。門のところにある慰霊碑は、出入りの石材店から寄進されたものだ。元々お地蔵さまを祀っていた場所にその慰霊碑を加えた。
寺の周りに100軒ほどの檀家が住んでいたが、その場に残っているのは約2割。あとは亘理町の内外に移転している。本堂の南側の壁が破れなかったため、ご本尊も寺のなかにとどまり、墓石も流されずにその場で倒れたので、それを元に戻す形で再建できた。