◉相馬市/洞雲寺
東日本大震災被災物故者供養塔
東日本大震災被災物故者供養塔第14番建立寺院
慰霊碑は真西を向いて立っているので、それに向かってお参りをすればちょうど被災地に向く方向になる。そこはちょうど松川浦の堤防が決壊した場所。また設置されている場所は山門のすぐ脇なので、墓参りに来た方が水を汲みに行ったり、石段を登って来ればすぐ気づく場所になっている。寺は岩盤の上に建っているため、それほど大きな被害はなかった。
もともと浜のほうに檀家が少なかったため、檀家の犠牲は震災関連死を含めて5名だった。それでも相馬市の津波による被害者は458名。避難しておきながら、一度目の波が引いた時などに荷物を取りに戻った方も多かったという。チリ地震の時でもこの地区の被害は大きくなかったので、あんなに大きな津波が来るとは思ってもいなかった。
今回の震災では動画が数多く残されたので、後世に伝えるにはいいと考えている。貞観地震(869年)の時にここで大きな津波があったらしく、松川浦で使用している小舟が、海からの距離が洞雲寺と同じくらいの場所にある諏訪神社の杉の木に引っかかっていたという記録が残されている。しかし文章だけではその怖さはなかなか伝わらない。映像であれば、たとえどんなに小さな津波でも逃げたほうがいいと実感できるのではないかと考えている。