◉むつ市/恐山菩提寺
東日本大震災慰霊 地蔵菩薩像

祈りの道しるべガイドマップ

 別れはあまりにも突然に、残酷な形でやってきた。だからこそ、幻でもいいから会いたいと願った。「人が死ねばお山に行く」という信仰からか、恐山は人の魂が集まり安らかに眠る場所、死者と生者が出会う場所とも言われてきた。霊場恐山の信仰者は下北一円のほか、東北から茨城県北部までの沿岸部に多い。それはまさに、今回の震災に見舞われた地域と重なる。被災した人々が多いのにも関わらず、あの年の開山日である5月1日から信仰者は訪ねて来た。それぞれが大きな喪失を抱え、あるいはここに来れば…との思いがあったのかもしれない。
 「鎮魂の鐘」と「希望の鐘」の澄んだ音が響く。周囲を山々に囲まれたカルデラ湖・宇曽利山湖のほとり、白砂の広がる極楽浜に、白い御影石で出来た高さ約3mの蓮華の花。その中に地蔵菩薩像が座し、泣く子と笑う子のそばで静かに微笑んでいる。印象的なのは背面に散りばめられた大小60ほどの手形の窪みだ。この地蔵尊の建立を発願した恐山山主は、特にこの手形に思いを込めた。自分の手に合う手形を探し、お地蔵さまに触れる。そうして亡くなった人たちのことを思う。大切な人を亡くした人たちのことを思う。遠い未来でこの手形に手を合わせる誰かにも、震災の悲劇と私たちの想いは届くに違いない。

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