◉名取市
寄り添い地蔵尊 閖上日和山・慰霊碑
名取からの震災の報道で何度も目にしたであろう日和山は、閖上漁港の近くにある標高6・3mの築山だ。何もなくなった閖上地区一帯を見渡せることから、震災後は鎮魂の場となっている。
そのすぐそばに、名取市の慰霊碑が建っている。海岸から約700mのこの場所に到達した津波と同じ高さ8・4mの慰霊碑は、「種の慰霊碑」から発芽した「芽生えの塔」が、この地に豊かさが戻ることを願う「豊穣の大地」から上へ上へと伸びていく様子を表現している。また、慰霊碑左右の芳名板には、碑文と合わせ、震災により犠牲になった944名の名前が記されている。
そこから道路を挟んだ場所に、NPO法人「被災地に届けたい『お地蔵さん』プロジェクト」が建立した6基目にあたる地蔵尊がある。この建立は、曹洞宗全国所長会からの募金が中心となったものだ。
日和山のふもとに、古い石碑が並べてあるが、そのうちのひとつは昭和三陸沖地震の際に建てられたものだ。津波は何度もやって来る。教訓を忘れずに、形あるものに頼るだけでなく、語り継いでいくことが大切だと考えさせられる。