◉下閉伊郡山田町/龍泉寺
東日本大震災災害復興支援 「活動の灯」
「活動の灯」は、ボランティア活動や傾聴活動など、全国曹洞宗青年会の被災地での活動の拠点になった場所に建てられた活動のしるしだ。
震災発生当時、花巻にいた住職が山を越えて翌日の午前10時に寺に帰り着いた時には、すでにご遺体が安置されていた。地域の消防や業者の方々がご遺体を、ビニールシートを敷いた本堂、それでも足りずに外の車庫を開放して並べていった。まだぬくもりの残る遺体もあった。泥だらけの顔を丁寧に拭いていくと、見知った顔が現れた。「なんで逃げなかったの…」と、悲しいというよりも悔しかった。一緒に読経をして手を合わせ、そこに休ませた。
電気が通じず、情報もなく、物資が不足するなか、どうやら住職が生きているらしいという情報がラジオ、テレビなどで流れた。すると永平寺の同期が、思いつくありとあらゆる支援物資を4tトラックに積んで、38時間かけて駆けつけてくれた。寺を拠点にし、行政や自衛隊の手が行き届かないところに配っていった。さらに青年会から派遣された3人とともに傾聴活動を始めた。ひとりは能登半島地震の経験者だった。訪問先で「どこにぶつけたらいいかわからないこの思いの丈を、誰にぶつけたらいい?と悶々としていた。今日は和尚さんたちが来てくれて本当に良かった。和尚さんたちにぶちまける」とおばあちゃんに言われた。ああ、これなんだと思った。各地で災害を経験したことが、繋がりになって活動が続いていくんだなと思っている。
「碑文」 此処は、東日本大震災復興支援の岩手県における活動の拠点として、全国曹洞宗青年会有意の青年僧侶が参集し、その活動に専念した場所である。
茲に震災犠牲者を追悼し、早期復興のためのさらなる菩薩行の承継を誓願して「活動の灯」を建立する。
平成廿五年八月吉日 第十九期全国曹洞宗青年会