◉石巻市/洞仙寺
見まもり観音堂

祈りの道しるべガイドマップ

 潮が引けば津波が来る。そのイメージに反していきなり第一波が浜を襲い、寺も65軒あった集落もほとんど流された。当時仙台にいて難を逃れた住職たちが寺に戻ると、唯一残った本堂の梁の上に、観音様が乗っていた。
 波に連れ去られることなくこの土地に残り、人々の姿を見守っていたことが、支援に訪れた長野からのボランティアの方々の心に響き、「見まもり観音堂建立の会」が立ち上がった。人々を見守り、犠牲者を供養するお堂を造るという趣旨に賛同する動きは全国に広がり、観音堂建設資金が集まったのみならず、平成26、27年には被災地である青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の60ヶ所で浜供養が行われ、それぞれの浜で拾い集めた2万個以上の石一つ一つに写経されたものが、観音様の元に納められている。震災で亡くなった御霊の数だ。
 震災直後、寺から先の道はなぎ倒された木々などに覆われていたので、地域のみんなで一週間程度でさらに奥に住む方々のための道を切り拓いた。近くの小学校での避難生活は5月末まで続いた。2年半前に住宅を再建しここで暮らしているが、今浜に残るのは寺を含めて10軒だ。檀家を中心に10人ほどの「観音堂見まもり会」を発足させた。人々の心の拠りどころとしての存在意義を、そうなるための祈りの場であり集まれる場所を、これからみんなで手探りしながら続けていきたいと考えている。観音堂にいらしてくださる際は、ぜひ準備をしてお迎えしたいので事前に連絡をいただければ嬉しいとのことだ。

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