◉双葉郡富岡町/龍臺寺
東日本大震災被災物故者供養塔
東日本大震災被災物故者供養塔第18番建立寺院
平成28年7月から寺の再建に着手した。来年には庫裡、それから位牌堂、本堂、山門を造るので、供養塔をここに置くのは6年くらい先になるという。問題は文言だ。富岡町で直接津波の犠牲になったのは5名、原発事故の関連死は150名もいる。あの石碑を見る富岡町民は、きっと「東日本大震災物故者」に原発事故の犠牲者を含むのか含まないのかを考えるに違いない。だから裏面に原発事故云々ということを彫って、それを正面にしようかとも考えている。
震災があった時は總持寺におり、ここに帰ってきたのは一週間後だった。建物の被害は酷く、一晩誰もいなくなった町に泊まって、解体して再建するしかないと考えた。4年目にようやく解体出来るようになり、平成27年1月から環境省が工事を行った。さらに放射線量の様子を見守り、1年半経ってようやく再建に着手することが出来た。本堂は総欅づくりで、東北にはない二層構造にする。造るからには文化財になるくらいのものを造るつもりだ。
法事などは、息子夫婦がいるいわき市の仮事務所で営んでいる。平成29年には富岡町の避難指示が解除される方向だが、住民が帰って来るにはさらに2~3年かかるのではないかという。町も寺も、復興の途についたばかりだ。