◉石巻市/龍谷院
観世音菩薩・慰霊碑

祈りの道しるべガイドマップ

 石巻市北部、北上川河口に位置する長面浦は、細い水路で太平洋と繋がる内海だ。そこで獲れる牡蠣の美味しさ、仙台雑煮に欠かせないハゼはここの名物だ。川沿いに河口に向けて車を走らせると、河川敷にはヨシが風にたなびいている。
 あの日堤防が決壊し押し寄せた津波がこの地域を呑み込んだ。西岸の長面、東岸の尾崎の両集落には約700名が暮らしていた。長面は津波で壊滅し、尾崎とともに災害危険区域となった。全校児童108名のうち74名が死亡・行方不明となった大川小学校もこの近くにある。
 龍谷院は避難所になっていたため、地域住民が避難していた。大津波警報を受けてほとんどは裏山に避難したが、住職と高齢者3名が庫裡の2階に残った。2階は津波に持ち上げられ翌朝まで漂流し、奇跡的に元の場所に戻ったという。孤立した住民たちは救助が来るまでの3日間、読経の際に使う直径・高さ50㎝の鐘を鍋に使い、寺にあった米をお粥にして生き延びた。

「碑文」
 東日本大震災 未曽有の大津波 平成23年(2011年)3月11日午後2時46分、三陸沖を震源とする震度7の大地震が発生し、およそ40分後當地に十数メートルの大津波が押し寄せた。
 風光明媚な松原海岸の砂浜や、百年以上の松林十万本と、海岸線から釜谷地区までの住宅地、農地すべてが濁流に一気に飲みこまれた。長面地区145戸の家屋も瓦礫と化し、壊滅状態になり、住民108名の尊い生命が奪われた。
 生かされた我々は「地震が起きたら津波の襲来」を教訓に、速やかに高台に避難することが自らの命を守る道であることを後世に伝えたい。
 玆に遺族の賛同のもと、この碑を建立し犠牲となられた諸霊の冥福を祈るものである。

   平成25年3月
     東日本大震災長面遺族会

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