◉石巻市/洞源院
石巻被災地蔵尊
津波の直後に大規模な火災が発生した門脇地区。黒焦げになった門脇小学校を覚えている方も多いだろう。現地は今見渡す限りの更地となり、かさ上げが進められている。NPO法人「被災地に届けたい『お地蔵さん』プロジェクト」では、今回の震災で4︐000人近い方々が亡くなり、最も被害の大きかったこの地に最初の地蔵尊を建立した。いずれは南浜地区に整備される南浜地区復興祈念公園(仮称)に再建される予定だ。
開眼法要を行った洞源院は、渡波地区の宮城県慶長使節船ミュージアムの上、海抜46mの場所にある。大津波警報が発令された前年のチリ地震津波の際にも、約100名ほどがここに避難した。バリバリと音を立てて、津波が街を呑みこんでいく様を地震発生と同時に避難して来た地域住民と共に見ていた。街が終わると思った。
瓦礫に覆われた道を切り拓いて、自衛隊が物資を運んでくるまで一週間かかった。しかし年2回の法要の際に、集まった檀家300名に食事を出せる施設や道具で、買い置きのあった玄米を粥やおにぎりにしてしのいだ。
避難者は一時400名を超えた。避難所の秩序を守るため、食料調達や部屋の係を決め、3月14日には「洞源院共同生活の約束」という8ヶ条を作って徹底させた。日常生活では当たり前のことばかりだが、それが出来ないくらい異常な状況だった。8月7日に避難所の解散式をやったが、そこから生まれたボランティア組織が今も活動している。