◉東松島市／長音寺
地蔵尊・慰霊と復興の祈りの笠塔婆

　東松島市は市街地の約65％が浸水し、約1︐100名の方々が亡くなった。長音寺のある野蒜地区も約500名が犠牲になった。野蒜駅からわずか700ｍの地点で、4輌編成の仙石線の下り列車がL字に折り曲げられ、住宅地に横たわる姿を覚えている方も多いかもしれない。海のすぐそばに建っていた長音寺は、津波で本堂・庫裡とも全壊し、前住職も亡くなった。現地は災害危険区域に指定されているため、人が住むことが出来ない。ただ建物を建てることは可能なので、いずれこの場所に本堂を再建したいと考えている。
　門柱のすぐ左に、ＮPO法人「被災地に届けたい『お地蔵さん』プロジェクト」で建立した地蔵尊が建っている。石巻地域での設置は、石巻市門脇町に
続く2ヶ所目だ。中央の1体が高さ1・5ｍ、両脇に
90ｃｍと70ｃｍの2体が並んでいる。地元の要望で笑顔のお地蔵さまにしたとのことで、建立除幕式の際にはお地蔵さまの顔を愛しそうになでる住民の姿も見られた。
　プレハブの仮本堂の奥に、供養塔と三回忌に建立した「鎮魂・東日本大震災 石塔・石仏展覧会」で特別賞を獲った笠塔婆、そして鎮魂の鐘が並んでいる。