◉東松島市／寿昌院
大曲浜地区東日本大震災大津波犠牲者慰霊碑

　風を遮るものがなくなり、時々強い海風が吹きつける寿昌院上台墓地の敷地内に、その観音像は建っている。慰霊碑の高さは台座も合わせて6ｍ、この地区を襲った津波の高さに合わせたものだ。
　ブルーインパルスのホームである松島基地のすぐそばである。東松島市の大曲浜地区に津波が襲来したのは、大地震から約1時間後の午後3時50分。第一波は大曲浜地区全域を飲み込み、浜須賀地区にも及んだ。そのまま国道45号線をはるかに超え、仙石線まで達し、第8波まで来襲した。この地区で亡くなった方々は318名。その圧倒的な数に立ちすくむ。家や工場、車なども一気に押し流され、壊滅的な状態となった。
　悲惨な震災を風化させることなく、「地震が来たらすぐ高台へ避難すること」を後世に語り継ぐと共に、犠牲者の御霊を慰め、復興を見守っていただけるよう、その観音像は静かに海を見つめている。