◉気仙沼市/少林寺
東日本大震災 慰霊碑・釈尊像
地震の時は別の寺で打ち合わせをしていた。チリ地震の津波が大きかった記憶はあったが、まさかここまで大きい津波が来るとは思わなかった。大津波警報が出て、予想が6mから10mに引き上げられた時まずいと思った。外に出てみると、海のほうに埃が舞い上がり、それが横一直線になってどんどん近づいて来た。家や瓦礫がごろごろと回りながら迫ってきた。ここまで来るかもしれないと思い、車で山のほうに逃げた。その後しばらくは、急に膨らんできそうな気がして海を見るのが怖かった。
約1ヶ月ほど、お寺で運営している保育所の職員や園児のご家族約20名の避難所になっていた。檀家で犠牲になったのは60名ほどで、2~3ヶ月くらいは葬儀の毎日だった。合同葬儀も考えたが、お一人お一人を丁寧にお送りしたかった。幸い手伝いに来てくださる方々がいたので3人態勢で供養させていただいた。街の葬祭場は津波で流されたり遺体安置所になっていたので、すべて本堂を使った。
震災直後、シャンティ国際ボランティア会の現地拠点にもなり、そこから様々な縁が広がった。畳があるので避難所として質のいい空間の提供ができるなど、お寺の存在価値が見直されたと感じている。震災後に行ったコンサートやイベントでも人が集まってくれた。自分たちも気づいていなかったが、お寺とは本来そういう場所なんだと思っている。