◉福島市/成願寺
誓願地蔵尊
曹洞宗福島県北青年会創立40周年記念事業のひとつとして建立された誓願地蔵尊。
東日本大震災の慰霊碑であると同時に、ここ大波地区だけでなく福島・東北の、地震と津波、そして原発事故からの復興を祈念して建立された。設置場所を選定する際、原発事故の被害が酷く、復興に向けて頑張っている地域として、その安寧と復興を願うためにここが選ばれた。
大波地区は、周囲を山に囲まれた静かな地区だ。空気や食べ物が美味しく、人柄も穏やかだという。何より大波は米が美味しい。粘土質で若い土、稲作に向いた日照の時間と方向のおかげで、量こそ多くはないが魚沼産より美味しい米がとれる。東京の寿司屋からも「ここの米じゃないと」と直接依頼があったほどだ。しかしながら、地震からはすぐ復旧したが放射能の問題が長引いた。大波地区は福島市で一番最初に除染し、収穫したものも地区の活性化センターですべて計測している。なので市場に出回っているものは安心なのだが、なかなか生活や環境は元に戻らないという。
寺から見える大波小学校が、平成29年に廃校になる。地区の子どもたちがほかの地区の学校に行ってしまったため、最後の卒業生を平成26年3月に送り出して以来休校状態だった。学校は地域の文化であり、歴史であり、象徴だ。だから学校がなくなると、さらに過疎が進む。過疎は大波に限ったことではないが、震災で10~20年早くなったと感じている。学校から帰ると、ランドセルを投げ出して遊んでいた自分の子ども時代が懐かしい。