◉相馬郡新地町／龍昌寺
東日本大震災被災物故者供養塔

　東日本大震災被災物故者供養塔第9番建立寺院

　沿岸部も檀家が多いため、50名の方々が直接津波で亡くなった。震災の時、高台にあるお寺から海のほうを見ていると、波は家々を押し流しながら6号線を越えてやってきた。さらに寺の上にある墓地に夕方頃まで避難していた。波が何度も引いたり来たりするのが見えた。
　また沿岸部にあって流出した「釣師北畑墓地」の墓石を集めて、独自の慰霊碑も建立した。津波の被害が酷かったためなかなか現地に行けず、入れるようになったのはその年の6月頃。墓石はほとんど見えず砂浜になっていた。それでも檀家さんたちと共に墓石を半年ほどかけて探し、ほぼ100％を回収した。見つかるたびに寺に運び、それらを集めて平成24年の彼岸会に建立した。何百年も前からの檀家も多いので、古い墓石や形が崩れたものを観音様の足元にまとめ、また誰のものかわからないお骨も、ここに合同埋葬してある。
　その後「釣師北畑墓地」は、そっくりこの慰霊碑の上の敷地に移転した。住人たちの住む場所はバラバラになってしまったが、墓参りにくれば誰かに会うことが出来る。自分の墓をお参りし、さらに合同の慰霊碑で先祖に手を合わせることができるから、墓を流されても絆が切れることはない。