◉大船渡市／安養寺
東日本大震災慰霊碑 「南無博江観音」

　津波は川を遡り、大船渡警察署を越えて盛町まで来たという。安養寺のある立根町は内陸にあるため、津波による被害は免れた。ただ、現在慰霊碑の立っている場所にあった五重塔が最初の地震で倒壊した。
　ここにある慰霊碑には犠牲になった檀家17名の名前が刻まれている。併せて供養碑として、観音様がある。地元出身の演歌歌手の奥様が震災の年に亡くなったため、その供養を兼ねているという。
　大船渡斎苑が近いため、当時ここはご遺体の安置所になった。警察官が24時間常駐し、約40体のご遺体がこちらに運ばれてきた。当時は施設も上手く稼働しておらず、大船渡市内に限らず、東北各地での火葬が決まると、ここでお経をあげて出棺したという。結局おひとりだけ、身元がわからなかった。
　今でも11日になると、ここにいた方々のことを思い出す。だから朝のお勤めで、震災の犠牲者の方々の供養を続けている。