◉双葉郡川内村/長福寺
東日本大震災被災物故者供養塔
東日本大震災被災物故者供養塔第12番建立寺院
寺の前に田んぼが広がっている。震災後は半分くらい休耕田になってしまったが、秋になると一面黄金色で美しいという。供養塔は寺に登る石段の下に設置されている。隣にお地蔵さまが並び、通りかかった人が手を合わせられるようにこの場所にした。
津波で直接亡くなった檀家はいなかったが、沿岸部の病院や施設に入っている方が多かったため、震災関連死された方々がいる。自衛隊の誘導で避難したが、家族に避難先が伝わらず、再会した時には亡くなっていたり、避難してから体調を崩した人が多かった。福島県では津波で亡くなった方の数を、震災関連死の数が超えてしまった。
川内村も原発の事故のあと全員が避難した。平成28年6月14日に避難指示がすべて解除になったが、戻って来ているのは半分から6割程度だ。高齢者が多いが、車がないと生活するのが難しく、村内にはコンビニしかない。週1回程度近隣の町のスーパーに買い出しに行くか、いわき市から来る移動販売に頼っている状況だ。
寺の修復はまだ完全には終わっていない。平成29年3月には仮設住宅が閉鎖されるので、檀家が帰って来てからどうするか相談しようと考えている。地震も原発事故も、もう二度とないことを祈っている。