◉いわき市/海嶽寺
東日本大震災被災物故者供養塔
東日本大震災被災物故者供養塔第17番建立寺院
平成28年11月22日の早朝に地震が起こり、津波警報が発令された時、近隣の住民約200名はパジャマにコートを羽織った姿で海嶽寺を目ざした。震災以降、たとえ真夜中でも地震が起こると、「津波の心配はありません。」との情報が出るまでお寺の電気をすべてつけている。真っ暗ななか高台にある寺の灯りは、避難の道しるべになるからだ。
震災当時、海嶽寺は建て替えを行っており、建物はまだ引渡し前だったが、避難して来た方々を招き入れた。みんな海のほうを見ていたが、何が起こっているのかわからなかった。テレビに映る仙台空港の映像を見て、津波が来ているのはここだけではないとわかった。避難所ではなかったため、役所の誘導でみんなには支援物資の来る四倉高校に移動してもらったが、駐車場の車で過ごしていた方々もいた。
檀家では14名が犠牲になった。供養塔の隣には救世観音も建立した。また完成したばかりの本堂の幢幡すべてに、当時の住職が「東日本大震災殉難者諸精霊位」と書いた。