◉仙台市若林区
慰霊碑・東日本大震災慰霊之塔 荒浜慈聖観音

祈りの道しるべガイドマップ

 仙台市中心部から車で約30分、荒浜地区は自然に囲まれた穏やかな地区だった。同地区にある深沼海水浴場は、市内唯一の海水浴場として市民に親しまれていた。あの日、地震発生から約1時間後に高さ約10mの大津波が荒浜地区を飲み込み、県道亘理塩釜線を越え、東部道路にまで及んだ。犠牲者は190余名にのぼり、荒浜地区は壊滅状態となった。
 荒浜小学校へ避難した地域住民233名、児童71名、教職員16名の合計320名は、津波により孤立した四階建校舎屋上で、寒さに震えながら助けを待ち続けた。午後5時半からヘリコプターによる「ホイスト」の方法で救出が開始され、翌12日午後6時に全員が無事救出された。684世帯約2︐100名が住んでいた荒浜地区は、仙台市から災害危険区域に指定されたことにより人が住めない場所となり、移転を余儀なくされた。
 浄土寺は、海辺からわずか800mしか離れていない場所にあり、津波によって800坪の境内にあった本堂や庫裡などの建造物、過去帳などすべてが流された。荒浜で亡くなった190余名のうち135名が浄土寺の檀家だった。プレハブの仮本堂と慰霊碑の建つ境内は、災害危険区域にある仙台市内唯一の寺院であり、平成28年10月から約2km内陸寄りに本堂、庫裡などの再建工事が始まっている。またさらに海よりの場所に「荒浜慈聖観音」が建立されている。

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