◉須賀川市/永泉寺
東日本大震災被災物故者供養塔

祈りの道しるべガイドマップ

 東日本大震災被災物故者供養塔第5番建立寺院

 沿岸部の津波よりも先に、水に襲われて犠牲者の出た地区が内陸にある。津波被害に隠れてあまり知られていないが、内陸としては最大の被害だった。須賀川市長沼地区にある藤沼湖は、昭和24年に農業用のため池として造られた湖だ。高さ18m、幅133mのダムが水をせき止め、周囲の公園やキャンプ場は市民の憩いの場になっていた。
 地震発生の直後、老朽化していたと言われるこのダムが決壊し、約150万tの水が周囲の木々をなぎ倒しながら、川に沿って集落を襲った。14歳から89歳の7名が亡くなり、今も1歳の男児が行方不明だ。永泉寺正面にもその川は流れており、押し寄せた水に橋が流され、修繕が完了する1年間は行き来に苦労したという。
 人的被害のみならず、元々農業用の施設だった湖の水が干上がったことにより、下流域の田畑に水が供給されなくなった。あまり雨が降らない時は水の工面に苦労したという。平成29年1月にようやく復旧工事の完了したダムで試験湛水が始まった。米の作付け時期に合わせて4月末に7年ぶりに農業用水の供給を再開することになっている。
 藤沼ダムの悲劇は、忘れられた震災だ。ぜひ慰霊碑を訪ねるとともに、決壊したダムの現場も訪ねて欲しい。

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