◉陸前高田市/普門寺
東日本大震災犠牲者慰霊碑
普門寺にある慰霊碑は衝撃的だ。墓地の一番高い場所に、その慰霊碑はある。「東日本大震災犠牲者慰霊碑」の周囲に、14個の椅子のような四角い石碑が並んでいる。その上には「矢萩小学校 部分」そして番号が刻んである。ここには、まだ名前を取り戻せていない身元不明者の遺骨11霊が埋葬されている。
普門寺では震災後、450霊以上の遺骨を預かった。本堂に棚を設け、3段になって遺骨がびっしりと並ぶ、これまで見たこともない光景だった。捜索と身元確認が難航する中、陸前高田市内で見つかり、身元がわからないまま火葬された遺体は市が管理し、すべてこのお寺に届いた。白布に包まれた木箱には、収容した安置場所と番号が記されていた。その方々に毎日、線香を上げ、祈りを捧げた。
そういった縁もあって、普門寺には供養のために様々なものが寄贈され、本堂にそれらを祀る祭壇が造られている。堂内にある仏像1︐300体と、現在進められている東日本大震災追悼企画「五百羅漢をつくろう」の500体がすべて出来れば、陸前高田で亡くなった人の数になる。また、井堂雅夫氏による「阿弥陀如来二十五菩薩来迎図」は、阿弥陀様が津波で亡くなった人を一時も苦しませずに導いてくれる姿が描かれている。亡くなった人すべてが救われて仏様になり、逆に私たちを見守ってくれている世界がそこにはある。