◉仙台市若林区/松音寺
多羅菩薩
観音様は、この世の苦しみを減らすことが出来ないことを悲しみ、涙をこぼされた。その涙のこぼれ落ちた場所には蓮の花が咲き、右目の涙からは「静」の『白の多羅菩薩』、左の目の涙からは「動」の『緑の多羅菩薩』が生まれた。松音寺に安置されている『緑の多羅菩薩』は、急な助けが必要な人のために、いつでも素早く救済へと向かえるよう右足を前に出している。
この観音像を松音寺に安置したアジャ・リンポチェ猊下は、チベット仏教ゲルク派の転生活仏のひとり。中国青海省のタール寺の僧院長だったが、パンチェンラマ十一世認定問題で平成10年アメリカに亡命した。タール寺以来、亡命の際にも持ち出した観音像だったが、震災後、交通機関が平常に戻った6月に、犠牲者の供養と被災地の復興のため、以前よりチベット仏教を支援していた松音寺に本像を安置し、祈祷法会を行った。以後毎年仙台を訪れ、沿岸部も訪問している。
毎年3月11日前後に、本堂正面に殉難者の位牌を安置すると共に、本像の御開帳をおこなっているが、普段も参拝することは可能。なお松音寺は、仙台開府時に伊達政宗公に呼び集められたお寺のひとつである。