◉南相馬市/岩屋寺
東日本大震災被災物故者供養塔

祈りの道しるべガイドマップ

 東日本大震災被災物故者供養塔第8番建立寺院

 震災発生後、15日までは避難所を回って檀家の確認をし、その深夜に家族のいるところに避難した。亡くなった方々の供養が必要だと東堂が寺に戻ったため、住職も一緒に戻り、その後はずっと火葬場での供養に努めた。寺を避難所にすることも考えたが、原発の事故が起こったため、15日にはこの地区はほぼ全員避難した。火葬場では宗派を超えて読経を行った。身元がわかっても、家族が避難しており、全員揃わない状況で火葬に立ち会わなければならなかった。お通夜も葬儀もなく見送らねばならず、せめてお経だけでもという家族の要望に応えた。その頃は朝が来ても、太陽が昇った気がしなかった。犠牲になった檀家は22名で、まだ3名が見つかっていない。
 家族で津波に呑まれて、自分だけが生き残った人が「なぜ自分だけ助かったのか?」という。希望も何もかも失い、家族の供養に務めたいという思いが、その人の気持ちを支えている。その思いに応えていると、供養というのは本当に大事だと改めて思う。
 6年が経ち、この地域にもだいぶ人が戻ってきているが、それは高齢者がほとんどだ。子どもたちが手を離れる年齢になっても、孫世代と息子娘の世代はまだ戻って来ていない。震災はまだ続いていると感じている。

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