◉下閉伊郡山田町/南陽寺
東日本大震災 大沢地区慰霊碑
潮の香りが、境内まで届いていた。山門からなだらかに続く坂の向こうに、海が見えた。道の両側の家々はもはや土台もなくなり、更地のうえでショベルカーが動いていた。
山門の両側には、明治29年と昭和8年の三陸地震・津波の慰霊碑が並んでいる。風雨に晒され、古ぼけた石板の隣に、東日本大震災の真新しい慰霊碑が並んでいる。
ここ大沢地区では、今回の震災の津波により119名が犠牲になった。その方々の鎮魂と災害の記憶を後世に伝え、津波による犠牲者を二度と出さないことを誓って建立された慰霊碑には、「命を守る5つの誓い」が記されている。
「命を守る5つの誓い」
一、 この大津波のことを子どもや孫の代にまで千年超えて語り継げ。
二、 大きな地震のあとは必ず津波がやってくる。
三、 潮が大きく引いたら必ず津波がやってくる。
四、 家族で話し合い、避難場所を決めておけ。
五、 少しでも高いところに逃げろ。逃げたら、絶対に戻るな。