曹洞宗とは

平成29年度 布教教化に関する告論

 私(わたくし)たちは、今、多くの課題を前にその生き方が問われています。

 東日本大震災、大津波、東京電力福島第一原子力発電所事故から六年、そして日本各地で発生している自然災害のため、依然として多くの人々が悲しみと不安の中にいます。また、地球温暖化と災害、戦争、紛争、テロ、貧困、格差、自死、いじめ等の深刻な問題が次々と起こっています。

 この現実を直視し、私たちは「人権の尊重、平和の実現、環境の保全」の取り組みを柱とし、「殺すなかれ 殺させるなかれ」の み教えのもと、互いに慈(いつく)しみあう争いのない社会、原子力に頼らない社会、そして"いのち"を生かしあう社会の実現を願っています。

 本年度も、四摂法(ししょうぼう)の「同事(どうじ)」のおさとしに学び、「ともに願い ともに寄り添いともに歩む」願楽(がんぎょう)を進めます。

 『修証義(しゅしょうぎ)』に「海の水を辞(じ)せざるは同事なり、このゆえに、よく水あつまりて海となるなり」と説かれています。いかなる水も拒(こば)まない海の姿が「同事」です。一人ひとりの悲しみや苦しみを受け止めあい、支えあう同悲(どうひ)・同苦(どうく)の生き方であり、すべての人や物との間に垣根を作らない和合(わごう)の生き方です。

 無常迅速(むじょうじんそく)の人生にあって、一仏両祖(いちぶつりょうそ)の み教えを相承(そうじょう)し(うけつぎ)、み仏とご先祖の前で姿勢を調(ととの)え息を調え心を調えて静かに坐りましょう。大慈大悲(だいずだいひ)の坐禅はおのずから自他一如(じたいちにょ)の「同事」の力となります。

 日々、他を思いやり共に生きる菩薩(ぼさつ)の誓願(せいがん)を実践してまいりましょう。

 南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)
 南無高祖承陽大師道元禅師(なむこうそじょうようだいしどうげんぜんじ)
 南無太祖常済大師瑩山禅師(なむたいそじょうさいだいしけいざんぜんじ)

         曹洞宗管長(そうとうしゅうかんちょう) 福山諦法(ふくやまたいほう)

最終更新日 2017.04.06 14:44